建築事例

美しすぎる建築『豊田市美術館』写真付きでレビュー!

vaparka
こんな人に読んでほしい!
  • 豊田市美術館にこれから行く人。
  • 豊田市美術館について詳しく知りたい人。
  • 建築に少しでも興味がある人。

この記事では、現役建築士が美しすぎる建築『豊田市美術館』を写真付きで全力レビューします。

これを読めば、豊田市美術館を120%満喫できること間違い無し!ぜひこの記事を読んでから豊田市美術館を訪れてください。

WRITTEN BY|この記事を書いた人

UCHI (ウチ)
UCHI (ウチ)
一級建築士
第二種電気工事士
Profile
一級建築士 / 第二種電気工事士 / 30代

建築が好きすぎて、建築士になっちゃいました。
照明への愛も溢れて、電気工事士にもなってみました。

趣味は日本/世界中の建築巡り。
いろんな建築を設計してご飯食べてます。

設計者について

UCHI
UCHI

まずは豊田市美術館の設計者を紹介します!

建築家
谷口吉生(たにぐち・よしお)

豊田市美術館を設計したのは、日本を代表する建築家・谷口吉生(たにぐち よしお)です。
代表作には「ニューヨーク近代美術館(MoMA)の新館」や「葛西臨海水族園」などがあり、国内外で高く評価されている建築家です。

ランドスケープ・デザイナー
ピーター・ウォーカー(Peter Walker)

豊田市美術館のランドスケープデザインを担当したのは、アメリカの造園家 ピーター・ウォーカー(Peter Walker)。
直線や水面を用いたミニマルで静謐な空間づくりを得意とし、谷口吉生の建築とも高い親和性を持ちます。

敷地の歴史について

挙母市(ころもし)から豊田市へ。

トヨタ自動車が本社を置く、「豊田市(とよたし)」。かつては「挙母市(ころもし)」と呼ばれた城下町で、養蚕(ようさん)・製糸業を中心に栄えた町でした。

「養蚕」の街から「車」の街へ。


しかし、昭和初期からその需要が減り、当時の町長中村寿一が、町の繁栄を取り戻すために乗り出したのが、「豊田自動車製造部」の工場を誘致することでした。

その後、車産業の発展とともに繁栄を取り戻した挙母市は、「挙母市が全国有数のクルマの街に発展したこと」「挙母が読みずらい」という理由から、1959年に市名を「豊田市」に変更して今に至ります。

豊田市美術館は『挙母城』跡地に建設された。

国土地理院地図を加工して作成。(出展:https://maps.gsi.go.jp/help/intro/school/tochi.html)

豊田市美術館は、かつての挙母城があった跡地の高台に位置しています。

建築も敷地の高低差を利用して3つのレベルを設定。一番低いレベルには、美術館管理関係の部屋、中間のレベルには、来館者のための正面入り口、そして一番高いレベルには庭園が計画されています。

そのため、美術館の内部では上階からも外部にアクセスすることができ、建築内外の繋がりがより強く感じられます

NACHI
NACHI

3D地図で見ると敷地の高低差がわかりやすいね!

建築について

【1階エントランスコート】大きなゲートが出迎える。

豊田市美術館に到着すると、まず深緑色の大きなゲートをくぐってエントランスコートに向かいます。

1階平面図
【Aから見る】まず深緑色の大きなゲートの奥に、乳白色のガラスの建築が見えてくる。
【Bから見る】総重量60tの鉄を使った彫刻(リチャードセラ作)がお出迎え。
外壁のスレート材(石を薄くスライスした建材)は、周囲の自然と調和する落ち着いた深緑色。
【Cから見る】ゲートをくぐると、深緑色と対比した白い建築が現れる。
全ての目地がビシッと揃う。(深緑色の外壁と入口ガラスの目地)
目地が揃うことで、空間に良い緊張感が生まれる。(壁と床の目地)

【1・2階内部空間】芸術と調和した印象的な吹き抜け空間。

エントランスコートから建物内部に入ります。

中には大きな吹き抜け階段があり、壁には、古代ギリシャから21世紀までの哲学者・思想家の名前を並べたジョゼフ・コスースの作品が展示されています。

天井から吊り下げられたた電光掲示板もジェニー・ホルツァーによる芸術作品です。戦争や暴力・性などをテーマにした短文が、英語と日本語で流されています。

2階平面図
【Aから見る】壁面には古代ギリシャから21世紀までの哲学者・思想家の名前が並ぶ。
【Bから見る】乳白色のガラスから柔らかく広がった自然光が、室内を満たす。
【Cから見る】常設展を展示している展示室。
エレベータの枠が見たことない形に。こんなことできるんですね…
枠の見付け幅が無い…スタイリッシュ。
コーブ照明(天井に照明を当てる間接照明)が、観賞者を導いていく。
照明は上に乳白アクリル板が乗っている納まり。
1階平面図 ショップ・講堂
【Aから見る】企画展のグッズが販売、多くの人で賑わっていた。
【Bから見る】講堂。この日は休憩スペースとて開放されていた。

【2階庭園】青空の下に作品が並ぶ庭園

敷地の高低差を活かして計画された豊田市美術館は、2階からも外部にアクセスできます。

2階の彫刻テラスにはダニエル・ビュレンの「色の浮遊/3つの破裂した小屋」という作品が展示されています。

2階は彫刻テラスと合わせて水盤が計画されており、自然をより身近に感じながら作品を観賞することができます。

NACHI
NACHI

鏡張りの小さな建物が並ぶ姿は写真映えポイント!

鏡越しに自分を入れた写真が撮れます!

2階平面図
1階エントランスコートの階段から2階の彫刻テラスへ。
【Aからみる】2階に上がると大きな水盤が広がる
【Bからみる】水盤に反射した揺らいだ光が天井に映りこむ
【Cから見る】彫刻テラスからレストランを眺める。
【Dから見る】水盤に映りこむ逆さ美術館。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事では豊田市美術館を写真付きで紹介しました。

緊張感のある空間の中で自分の感性が研ぎ澄まされていく感覚を得ることができる建築です。

豊田市美術館に訪れる際は、ぜひ美術作品と合わせて建築空間も楽しんでください!

豊田市美術館
  • 開館時間 10時~17時30分 (入場は17時まで)
  • 休館日 毎週月曜日(祝日は除く)、年末・年始
  • 住所 〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1

詳細情報は公式HPを確認してください。

豊田市美術館公式HPはこちらから
豊田市美術館公式HPはこちらから
ABOUT ME
UCHI (ウチ)
UCHI (ウチ)
一級建築士
第二種電気工事士
一級建築士 / 第二種電気工事士 / 30代

建築が好きすぎて、建築士になっちゃいました。
照明への愛も溢れて、電気工事士にもなってみました。

趣味は日本/世界中の建築巡り。
いろんな建築を設計してご飯食べてます。
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